パチンコの当たり外れは「サイコロ」と同じ物理装置で作れる
パチンコの当落は、サイコロと同じ「確率にもとづく抽選」である。盤面(釘・ゴム・射出装置)は、その確率を分かりやすくイメージするためのたとえ話にすぎない。まず基本形として、こういうゲームを考える。
プレイヤーは1〜6の目があるサイコロを1回振るたびに参加料を払い、1の目が出た場合だけ賞金を受け取る。参加料100pt・賞金600ptならイーブンな勝負になる。
サイコロの目はそれぞれ1/6の確率で出るので、参加料を100ptとすれば、1の目が出たときの賞金がちょうど600pt前後になるかどうかが、プレイヤー側・胴元側どちらに利があるかの分かれ目になる(この「参加料と賞金のつり合い」の話は、将来的に「期待値とは」「トータル確率とは」「回転単価理論〔誤解されがちなボーダー理論〕とは」という記事で詳しく扱う)。
では、もし自分でこの「1/6」を、物理的な装置として再現するとしたらどうなるだろうか。サイコロやコイン投げのように、「結果が偶然で決まる遊び」は、多くの人が直感的に理解できる。実は、板と釘とゴムを使って玉を打ち出す装置も、この仲間に加えることができる。玉がどんな強さで打ち出されようと、盤面の釘の並びやルートの作り方によっては、結果的に「6球に1球、入賞口に入る=1/6」という物理的な確率が生まれるように設計することが可能だ。
ここまでの話は、「もし確率を物理的に作るならどうなるか」を分かりやすくイメージするためのたとえ話である。実際の現代の遊技機では、この役割を釘や玉の射出装置だけではなく、内部の乱数抽選というプログラム上の処理と組み合わせて実現している。この点については、記事の後半で改めて触れる。
単純なサイコロだけでは「パチンコ」にならない
参加料と賞金がシンプルに決まっているだけのサイコロゲームは、損得の構造が見えやすく、遊びとしての幅も狭いままである。先ほどの「参加料100pt、1の目で600pt」というゲームは、プレイヤー側・胴元側どちらにも偏っていない、イーブンな勝負である。しかし、このゲームを遊技として長く続けてもらうのは簡単ではない。
例えば賞金を500ptにすると、何度か遊ぶだけで「これは少し損をするゲームだ」と感じる人が増えるだろう。逆に700ptなら、「これは得かもしれない」と考える人も出てくる。
さらに、当たるか外れるかの2択しかなく、当たったときの賞金も毎回同じであれば、展開は毎回ほとんど変わらない。損得の構造が分かりやすい分、遊びとしての変化も少なく、何度も遊び続けたいと思わせる工夫としては十分とは言えない。
そこでパチンコでは、この単純なサイコロゲームを少しずつ改良していく。最初の工夫は、「当たりをもっと珍しくし、その代わりに当たったときの賞金を大きくすること」だった。
3段階のたとえで、パチンコの仕組みをまるごと再現する
パチンコの当落・獲得量・実際の受け取りは、①当選確率を変えたサイコロ、②引いたトランプの数字、③玉入れボーナスゲーム、という3段階のたとえで一続きに再現できる。
① 当選確率:サイコロの面を増やす
300面ある空想上のサイコロを用意し、1面だけを「当たり」とする。当選確率1/300、参加料100ptなら賞金30,000pt前後でイーブン。
ではどうするか。サイコロの面を増やしてしまえばよい。例えば300面ある、空想上のサイコロを用意する(現実には、すべての面が同じ確率で出るサイコロ〔正多面体〕は4・6・8・12・20面体の5種類しか存在しないが、ここではあくまで確率の大きさを直感でつかむための、頭の中だけの道具として考える)。300面のうち1面だけが「当たり」とすれば、当選確率は1/300になる。参加料を100ptとすれば、当たったときの賞金が30,000pt前後でイーブンな勝負になる。
不思議なもので、期待値としては1/6のサイコロと同じ「イーブンな勝負」であるにもかかわらず、当選確率を下げて賞金を上げただけで、人は急に「一発逆転のゲーム」として感じ始める。期待値は変わらなくても、なかなか当たらない代わりに一度当たれば大きく戻ってくる、という構造に変わることで、一回ごとの結果に対する緊張感や期待感が高まるためである。このハイリスク・ハイリターンという構造そのものが、遊技としての面白さの1つになっている。
② 獲得量のバラツキ:トランプで賞金を振り分ける
当たりを引いたら、続けてトランプを1枚引き、引いたカードによって賞金の大きさが決まる(大当たり振り分けに対応)。
次に、当たった後にもらえる量にもバラつきを持たせる。ここでトランプカードを使う。当たりを引いたら、続けてトランプを1枚引いてもらい、引いたカードによってもらえる賞金が決まる、というルールを追加する。例えば、次のような表を用意する(ジョーカーは使わない)。
| カード | 賞金 |
|---|---|
| A〜5 | 5,000pt |
| 6〜10 | 20,000pt |
| J・Q | 40,000pt |
| K | 100,000pt |
もちろん、この数字はあくまで仕組みを説明するための例である。重要なのは、当たったあとにも、さらに賞金を決める抽選があるという点だ。実際のパチンコでも、大当たりを引けば毎回同じ出玉になるわけではなく、大当たり振り分け(ラウンド数や確変・通常などの振り分け)によって獲得できる出玉が変わる。
こうして賞金に段階を設けるだけで、ゲーム性は大きく変わる。これまでは「当たったら30,000ptをもらって終わり」だったゲームが、「ようやく300分の1を引けた。ここまで来たならKを引きたい」という、もう一段階の期待を持つゲームへと変わる。
カードをゆっくりめくる。角から見えた模様が数字札なのか、絵札なのか。それだけで心臓が少し高鳴る。「せめてJかQなら」「いや、ここまで来たならKであってほしい」。そして最後までめくった瞬間、一喜一憂する。
期待値だけを見れば、最初から30,000pt固定でも変わらないかもしれない。しかし、人は「結果を待つ時間」そのものにも楽しさを感じる。このもう一段階の期待感こそが、パチンコで大当たり後の振り分けという仕組みが採用されている理由の一つである。
③ 実際の受け取り:玉入れボーナスゲームと技術介入
お手玉1個100ptを籠に投げ入れると600pt回収(アタッカーへの入賞に対応)。10回成功ごとに1セットとして回収され、賞金の大きさがセット数に対応する。
しかし、ここまで決まったのは「賞金の額」だけである。実際のパチンコでは、この賞金がそのまま一括で渡されるわけではない。現実のパチンコでは、当たりを引くと「アタッカー」と呼ばれる大きな入賞口が開き、そこに玉を打ち込んでいく。玉が1球入るごとに、規定の数の玉が払い出される、という仕組みになっている。これをラウンド数だけ繰り返すことで、最終的な獲得量が積み上がっていく。
これをたとえるなら、こうなる。広い場所に、自由に使えるお手玉がたくさん用意されているとする。お手玉1個には100ptの価値があり、お手玉を1個手に取って投げるたびに、籠に入るか入らないかにかかわらず100ptを支払うものとする。
目の前には大きな籠があり、お手玉が1個入るたびに600ptが払い戻される。つまり、お手玉を1個使って籠に入れることができれば、100ptを支払って600ptを受け取ることになるため、差し引き500ptの利益になる。籠は十分大きく作られているため、多くの人は狙った回数を成功させるまでに、ほぼその回数と同じくらいのお手玉しか使わない。
例えば、10回連続で籠に入れることができれば、1,000ptを支払って6,000ptを受け取り、差し引き5,000ptの利益になる。これが、②のトランプでA〜5を引いたとき(賞金5,000pt)に対応する。
ここで、10回成功するたびに、審判がお手玉と籠の中身を一旦確認・回収する、というルールを加える。1セット(10回成功)で得られる利益は5,000ptなので、6〜10を引いたとき(賞金20,000pt)は4セット、J・Qを引いたとき(賞金40,000pt)は8セット、Kを引いたとき(賞金100,000pt)は20セット、というように、賞金の大きさがそのままセット数の違いに対応する。実際のパチンコにおける「何ラウンド続くか」という大当たり振り分けは、このセット数の違いに対応している。
審判が確認・回収している数秒の間も、その場でお手玉を投げ続けることはできる。しかし、籠が回収されている状態で投げたお手玉は、入る・入らないにかかわらず、ただ100ptを道端に捨てているのと同じことになる。
このように、お手玉を投げるタイミングによって、最終的な獲得ポイントにはわずかな差が生まれる。しかし、その差は「5,000ptが20,000ptになる」といった大きなものではない。あくまで、大当たりによって決まった報酬を、どれだけ無駄なく受け取れるかという範囲にとどまる。これが、パチンコにおける技術介入の基礎の考え方である。
実際の遊技機スペックをサイコロで再現してみる
ここまでの3段階のたとえを組み合わせると、実在しそうなスペックの機種をそのままサイコロゲームとして再現できる。ここからは、実際のスペックをできるだけシンプルに表現するため、これまで別々に説明してきた仕組みをすべてサイコロにまとめて表してみよう。例えば、次のようなスペックを考える。
- 通常時大当たり確率 1/200
- 確変時大当たり確率 1/39
- 通常時の大当たりラウンド振り分け:4R確変(約500玉・電サポ次回まで)50% / 8R通常(約1000玉・電サポ50回)50% ※確変突入率50%
- 確変時の大当たりラウンド振り分け:16R確変(約2000玉・電サポ次回まで)20% / 8R確変(約1000玉・電サポ次回まで)40% / 4R通常(約500玉・電サポ50回)40% ※確変振り分け内の継続割合は60%(16R確変+8R確変の合計)。電サポ(時短)引き戻しを含めた初回確変大当たり時の平均連は約3.2連相当となり、これを実質継続率(%)に換算すると約68.9%になる
通常時用(400面)・確変時用(390面)の2つのサイコロを用意し、当たり面の内訳を振り分け比率どおりに割り当てれば、上記スペックがまるごと再現できる。
これをサイコロで再現するなら、通常時用・確変時用で別々の(空想上の)多面体サイコロを用意すればよい。通常時用のサイコロは400面あるとし、そのうち1面に「大当たり・4R確変(500pt)電サポ次回まで」、別の1面に「大当たり・8R通常(1000pt)電サポ50回」と書き込み、残り398面は白紙(ハズレ)とする。これで「400面のうち2面が大当たり(=2/400=1/200)」、その内訳が確変・通常で半々という条件がそのまま再現できる。同様に、確変時用のサイコロは390面あるとし、そのうち10面に当たりを割り当てる(10/390=1/39)。内訳は、2面に「16R確変(2000pt)電サポ次回まで」、4面に「8R確変(1000pt)電サポ次回まで」、残り4面に「4R通常(500pt)電サポ50回」と書き込み(それぞれ10面中の20%・40%・40%に対応)、残り380面は白紙(ハズレ)とすれば、上記のスペックがまるごと再現できる。通常時に大当たりを引いて確変へ移行したら、その後は通常時用サイコロではなく、確変時用サイコロを振るゲームへ切り替わる、と考えればよい。
つまり、機種ごとのスペックの違いとは、「①どのくらいの確率で当たりを引かせるか」「②当たったときに、どの結果がどんな割合で振り分けられるか」という、ここまで見てきた2つのパラメータの組み合わせ方の違いにすぎない。
なお、実際のスペック表には1/99.9や1/199.8、1/319.6といった、一見中途半端な数字が並ぶことも多い。こうした数値がどのような考え方で決まっているのか、また実戦ではどのように扱えばよいのかについては、「トータル確率」や「ボーダーライン(回転単価)理論」の記事で詳しく解説する。
もう一つ乗っている要素「台の個体差」
ここまでのたとえはあくまで「確率の設計」の話であり、実際の台には、同じ機種・同じ設定でも玉の入りやすさに差が出る「台の個体差(回る台・回らない台)」という要素も乗っている。盤面の釘の並びには、機械である以上わずかな個体差があり、同じ機種でも台によって玉の入りやすさに差が出ることがある。
これをサイコロで表すなら、次のようになる。サイコロの面数も、当たり確率も、当たったときの賞金(600pt)も、すべて同じ3台のうち、A台は1回100ptで参加できるが、B台は90pt、C台は120pt必要になる。注目してほしいのは、ゲームのルール自体は一切変わっていないという点である。違うのは、1回ゲームに参加するために必要な「参加料」だけである。それでも、長く遊び続けるほど、この参加料の差はそのまま損得の差として積み重なっていく。パチンコで「よく回る台」と呼ばれているのは、この参加料が安い台を選べているのと、本質的には同じことである。
ただし、この参加料の違いが実際にどれくらいの損得につながるのかは、まだ数字では示していない。それを数値として捉える考え方は、「期待値とは何か」で詳しく説明する予定である。この個体差がどのように生まれ、実戦でどう見極めるかという話も、パチンコ理論の別記事で改めて扱う。この記事ではあくまで「そういう要素も別に存在する」ということだけ押さえておきたい。
実際は乱数抽選(プログラム)で行われている
ここまでのたとえはあくまで理解のための道具であり、現在の遊技機では、玉の発射・始動口への入賞といった物理的な過程と、内部の乱数抽選が組み合わさって結果が決められている。厳密には、当たり・外れそのものを決める処理はプログラムの中で行われている。機械の内部で取得した乱数値に応じて、あらかじめ決められた確率・振り分けに従って結果が決まる(乱数抽選)。ただし、玉を打ち出し、盤面上を転がって特定の場所(始動口など)に入るという物理的な過程そのものがなくなったわけではない。ここまで見てきたサイコロ・トランプ・玉入れのたとえは、この「物理的な過程+乱数抽選」という組み合わせ全体を、人間がイメージしやすい形に置き換えたものにすぎない。乱数抽選そのものの仕組みについては、将来の関連記事で改めて扱う。
パチンコを長く見てきて感じるのは、多くの人が演出やリーチの派手さに目を奪われ、本質である「確率にもとづいて賞金が決まるゲーム」という部分をイメージできていないことです。
例えば、「今日は運がいいから勝てそう」「今日はおみくじで大吉だったからパチンコに行こう」といった会話を耳にすることがあります。もちろん、一回一回の大当たりは偶然に左右されます。しかし、だからといってパチンコ全体を単なる「運ゲー」と捉えてしまうと、その仕組みの本質を見落としてしまいます。
この記事では、サイコロから始めて、トランプ、玉入れボーナスゲームへと少しずつ要素を追加しながらパチンコを再現してきました。しかし逆に、それらの要素を一つずつ取り除いていけば、最後に残るのは「参加料を払い、確率に応じた賞金を受け取る」という、ごく単純なサイコロゲームです。
私が読者の方に持って帰ってほしいのは、「結局は1/6のサイコロゲームと同じ構造なんだ」というイメージです。どれだけ演出や確変、大当たり振り分けなどの仕組みを重ねても、最終的な損得は「何回抽選を受けるためにいくら投資し、その抽選から平均してどれだけの報酬が返ってくるか」という比較に帰着します。
もっとも、現在のパチンコは、その仕組みが非常に複雑になっています。短期的な結果だけを見れば、どうしても「運が良かった」「運が悪かった」と感じやすい場面が多くあります。
また、液晶演出や光・音・振動、大きな役物演出などには、プレイヤーに「サイコロゲームである」ということを忘れさせてくれる楽しさがあります。だからこそ、多くの人が長年夢中になってきたのだと思います。
それでも、一歩引いて全体の構造を見ると、この記事で紹介したサイコロゲームの考え方に戻ってきます。私は、その視点こそがパチンコを理解する上で最も大切だと考えています。
だから私は、「運がいい」という言葉よりも、「確率的にはどうなっているのか」を考える人でありたいと思っています。
まとめ
パチンコは、①多面体サイコロ(空想上の道具)で当落を決め、②引いたトランプの数字で獲得量のバラツキ(大当たり振り分け・確変)を決め、③玉入れボーナスゲームでその量を実際に受け取る(アタッカーへの入賞・技術介入)という、3段階の仕組みを組み合わせたゲームである。台の個体差という要素も別に存在するが、実際の遊技機では、これらすべてが玉の発射・入賞といった物理的な過程と、内部の乱数抽選という電子的な処理の組み合わせによって実現されている。機種ごとのスペックの違いは、この確率設計の組み合わせ方の違いにほかならない。
当選確率・獲得量のバラツキ・技術介入と、ここまで見てきた要素をどれだけ積み重ねても、最終的には「1回の抽選あたり、何玉払って何玉戻ってくるか」という、最初のサイコロゲームと同じ単純な損得の比較に戻ってくる。演出やリーチ、確変といった仕組みは、この単純な損得の構造を何重にも包み込み、複雑に見せている。しかし、その外側を一枚ずつはがしていけば、最後に残るのは「参加料を払い、確率に従って賞金を受け取る」という、ごく単純なゲームである。パチンコは今も昔も、本質的にはサイコロゲームを拡張したゲームなのである。
次の記事では、以下のテーマを順番に解説していきます。
- 期待値とは何か(準備中)
- トータル確率とは何か(準備中)
- ボーダーライン(回転単価)理論とは何か(準備中)